フリースクールは、不登校の小学生の学びと成長を支える大切な場所ですが、気になるのは費用面ですよね。
学校とは違い、授業料が必要になるフリースクール。でも、その費用はいったいどれくらいなのかは重要!
実は、フリースクールの小学生向けコースの月謝は、施設によってかなりの開きがあるのが現状なのです。
そこで今回は、フリースクールの平均的な費用や、授業料以外にかかる費用、そして費用面での不安を和らげてくれる補助金制度や減免制度についてもご紹介します。
この記事の結論
- フリースクールの小学生向けコースの平均月謝は約3万3千円だが、施設によって金額の開きが大きい
- 授業料以外にも入学金や教材費などの費用がかかるため、トータルの費用を確認することが重要
- 国からの直接的な補助金制度はないが、一部の自治体では独自の補助金制度がある
- フリースクールの中には、家庭の経済状況に応じた学費の減免制度を用意している施設もある
フリースクールの小学生向けコースの費用について
フリースクールの平均的な学費はいくらくらい?
フリースクールの小学生向けコースの平均的な学費は、月額約3万3千円程度といわれています。
ただし、これはあくまで平均値であり、実際の費用はフリースクールによって大きく異なります。
例えば、月額1万円以下の低価格なフリースクールもあれば、5万円以上の高額なフリースクールもあるのが現状です。
また、月々の授業料以外にも、入学金や教材費、イベント参加費など、様々な名目で追加の費用が発生する場合もあります。
そのため、フリースクール選びの際は、月々の授業料だけでなく、トータルでどれくらいの費用がかかるのかを事前に確認しておくことが重要です。
文部科学省の調査によるフリースクールの費用データ
文部科学省が2015年に実施した「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」によると、フリースクールの月額授業料は以下のような内訳になっています。
- 1万円以下:9.5%
- 1万円~3万円:38.2%
- 3万円~5万円:36.3%
- 5万円以上:10.3%
また、入会金については以下のような内訳です。
- 1万円以下:32.5%
- 1万円~3万円:31.4%
- 3万円~5万円:18.0%
- 5万円~10万円:5.7%
- 10万円以上:12.4%
これらのデータから、フリースクールの費用は施設によってかなりばらつきがあることがわかります。
低価格なフリースクールもあれば、高額なフリースクールもあるのが実情といえるでしょう。
国からのフリースクール運営への補助金について
現在、国からフリースクールへの直接的な補助金制度はありません。そのため、多くのフリースクールは授業料収入のみで運営されているのが現状です。
ただし、2016年に成立した「教育機会確保法」により、不登校児童生徒の学習機会の確保が国や自治体の責務として明記されました。
これを受けて、文部科学省は2019年度から「不登校児童生徒に対する支援事業」を開始し、民間団体等を活用した不登校支援のモデル事業に予算を計上しています。
今後は、こうした国の動きを背景に、フリースクールへの公的な支援が拡充されていくことが期待されます。
自治体によるフリースクール通学者への補助金制度
前述の通り、国からのフリースクールへの直接的な補助金制度はありませんが、一部の自治体では独自の補助金制度を設けています。
例えば、2021年度から東京都では、「不登校児童・生徒支援調査研究事業」を開始し、フリースクールに通う児童生徒1人あたり年間最大24万円の支援金が支給されています。
ただし、これは調査研究事業の枠組みでの支援であり、恒常的な補助金制度ではありません。
また、兵庫県川西市では、市内のフリースクールに通う児童生徒の保護者に対し、月額1万5千円を上限とする補助金を支給しています。
このように、自治体レベルでは徐々にフリースクール通学者への支援の動きが広がりつつあります。ただし、まだ一部の自治体に限られているのが現状です。
フリースクールの補助金は地域差が大きい状態になります。どの都道府県にいくら補助金が出ているのかは、フリースクールの学費補助制度を解説!自治体別の補助金まとめにて、詳しく書いていますので時間がある方はどうぞご覧ください。
経済的に厳しい家庭でもフリースクールに通えるの?
フリースクールは学校教育法上の正規の学校ではないため、授業料等は全額自己負担となります。
そのため、経済的に厳しい家庭にとっては、フリースクール通学のハードルは高いといえるでしょう。
ただし、前述の通り、一部の自治体では独自の補助金制度を設けています。また、フリースクールの中には、授業料の減免制度や分割払い制度を設けているところもあります。
例えば、東京都のあるフリースクールでは、生活保護受給世帯は授業料が全額免除、住民税非課税世帯は半額免除となっています。
また、別のフリースクールでは、入会金・授業料の分割払いに対応しています。
このように、経済的な事情でフリースクール通学を諦める前に、まずは各フリースクールの支援制度を確認してみることをおすすめします。
フリースクールの小学生の費用に関する注意点
フリースクールにかかる費用の内訳と相場
フリースクールにかかる費用は、大きく分けて以下のような内訳になります。
- 入学金:5万円程度
- 月々の授業料:3万円程度
- 教材費:1万円程度
- イベント参加費:数千円~数万円
- その他雑費:数千円
ただし、これらはあくまで相場であり、フリースクールによって金額はかなり異なります。
特に、月々の授業料は1万円以下から5万円以上までと開きが大きいのが特徴です。
また、教材費やイベント参加費は、フリースクールのカリキュラムや活動内容によって大きく変動します。
そのため、フリースクール選びの際は、トータルの費用感をしっかりと確認しておくことが重要です。
フリースクールの学費補助制度について
前述の通り、国からのフリースクールへの直接的な補助金制度はありませんが、一部の自治体では独自の補助金制度を設けています。
また、フリースクールの中には、独自の学費補助制度を用意しているところもあります。
例えば、東京都のあるフリースクールでは、以下のような学費補助制度が設けられています。
- 生活保護受給世帯:授業料全額免除
- 住民税非課税世帯:授業料半額免除
- ひとり親家庭:授業料2割引
このように、家庭の経済状況に応じた学費補助制度を設けているフリースクールもあります。
ただし、こうした学費補助制度はフリースクールによって異なるため、事前の確認が欠かせません。
フリースクール選びの際は、学費補助制度の有無と内容も重要なチェックポイントといえるでしょう。
母子家庭の子供のフリースクール通学について
母子家庭は経済的に厳しい状況に置かれているケースが少なくありません。
そのため、母子家庭の子供がフリースクールに通学するには、費用面でのハードルが高いのが現状です。
ただし、前述の通り、フリースクールの中には母子家庭向けの学費補助制度を設けているところもあります。また、自治体によっては、母子家庭を対象とした教育費の補助制度を設けているケースもあります。
例えば、東京都では「母子及び父子福祉資金の貸付け」制度があり、母子家庭の子供の教育費として、月額6万4千円以内で貸し付けを受けることができます。
このように、母子家庭の子供のフリースクール通学には、各種の支援制度を上手に活用していくことが重要です。
フリースクールに通う子供の特徴とは
フリースクールに通う子供の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
- 不登校傾向にある
- 学習面で遅れがある
- 発達障害など特性のある子供
- いじめなど学校での人間関係に困難を抱えている
- 学校の集団生活に馴染めない
このように、フリースクールには、何らかの理由で学校に通うことが難しい子供が通っているケースが多いのが特徴です。
ただし、最近ではフリースクールを学校の代替として選択する子供も増えてきています。学校とは異なる学びの場を求めて、フリースクールを選ぶ子供も一定数いるのが現状です。
いずれにしても、フリースクールは多様な背景を持つ子供たちが通う場といえるでしょう。
フリースクールのデメリットと費用面での不安
フリースクールは、不登校の子供にとって貴重な学びの場ですが、デメリットもあります。
まず、学校教育法上の正規の学校ではないため、卒業資格が得られないことが挙げられます。
そのため、高校進学を目指す場合は、別途、中学校卒業程度認定試験の合格が必要になります。
また、カリキュラムや教育内容が施設によってまちまちなのも課題です。
学習面でのサポートが手薄なフリースクールもあるため、施設選びには注意が必要です。
さらに、費用面での不安も大きいといえます。フリースクールは全額自己負担のため、家計への負担は小さくありません。
長期的に通い続けるには、かなりの覚悟が必要になるでしょう。
フリースクールの費用面が心配な方は、不登校特例校という選択肢もあります。特例校の一覧と特徴について、こちらの記事で詳しく解説しています。
フリースクールは本当に無料で通えるの?
結論からいえば、フリースクールは基本的に有料です。授業料等は全額自己負担となるため、無料で通うことはできません。
ただし、一部の自治体では独自の補助金制度を設けています。
また、フリースクールの中には、家庭の経済状況に応じた学費の減免制度を設けているところもあります。
とはいえ、これらはあくまで例外的な措置であり、多くのフリースクールは授業料収入のみで運営されているのが現状です。
したがって、フリースクールへの通学を検討する際は、費用面での準備は欠かせません。
家計の状況を見極めつつ、長期的な視点で検討していく必要があるでしょう。
フリースクールの費用に関するQ&A
Q. フリースクールの平均的な月謝はいくらですか?
A. 文部科学省の調査によると、フリースクールの平均月謝は約3万3千円です。
ただし、施設によって金額の開きは大きく、1万円以下から5万円以上までとばらつきがあります。
Q. 国からフリースクールへの補助金はありますか?
A. 現在のところ、国からフリースクールへの直接的な補助金制度はありません。
ただし、一部の自治体では独自の補助金制度を設けています。
Q. 生活保護を受けている場合、フリースクールの授業料は免除されますか?
A. フリースクールによっては、生活保護受給世帯を対象とした授業料の減免制度を設けているところがあります。
ただし、あくまで施設独自の判断によるため、制度の有無は事前に確認が必要です。
Q. フリースクールに通いながら、高校進学を目指すことはできますか?
A. フリースクールは学校教育法上の正規の学校ではないため、卒業資格は得られません。
高校進学を目指す場合は、別途、中学校卒業程度認定試験の合格が必要になります。
まとめ
フリースクールは不登校児童生徒にとって貴重な学びの場ですが、費用面での負担は小さくありません。
文部科学省の調査によると、フリースクールの平均月謝は約3万3千円ですが、施設によって金額の開きは大きいのが現状です。
フリースクール選びの際は、費用面での見通しを立てることが何より重要です。
各フリースクールの費用体系をしっかりと確認し、家計の状況を見極めつつ、長期的な視点で検討していくことが求められるでしょう。
フリースクールへの通学は、不登校児童生徒にとって新たな一歩となります。
費用面での不安を乗り越え、子供たちが安心して通える環境を整えていくことが、私たち大人の責務ではないでしょうか。
まとめ
- フリースクールの小学生向けコースの平均月謝は約3万3千円だが、施設によって金額の開きが大きい
- 月謝以外にも入学金や教材費、イベント参加費など、様々な名目で費用がかかるケースがある
- 国からフリースクールへの直接的な補助金制度はないが、一部の自治体では独自の補助金制度を設けている
- フリースクールの中には、家庭の経済状況に応じた学費の減免制度を用意している施設もある
- 母子家庭の子供のフリースクール通学には、各種の支援制度を上手に活用していくことが重要
- フリースクールは多様な背景を持つ子供たちが通う場
- フリースクールは学校教育法上の正規の学校ではないため、卒業資格が得られない
- カリキュラムや教育内容がフリースクールによってまちまちなのも課題
- 費用面での不安はフリースクール選びの際の大きなハードルになる
- フリースクールは基本的に全額自己負担だが、一部に授業料の減免制度がある
- フリースクール選びでは、費用面での見通しを立てることが何より重要
- フリースクールへの通学は不登校児童生徒にとって新たな一歩であり、費用面での不安を乗り越えるためのサポートが求められる
フリースクールは、不登校の小学生の学びと成長を支える貴重な場です。施設ごとに費用や支援制度は異なりますが、事前にしっかりと確認し、見通しを立てることで、安心して通学できる環境を整えることができるでしょう。
フリースクールが、お子様の新たな一歩を後押しする場となることを願っています。