フリースクールは不登校の子供たちにとって貴重な学びの場ですが、学費の負担が大きいという悩みを抱える保護者も多いのではないでしょうか。
実は、自治体によってはフリースクールへの学費補助制度を設けているところもあります!
この記事では、フリースクールの学費の実態と、各地の補助金制度について詳しく解説します。
国からの支援が難しい中、自治体独自の取り組みに注目が集まっています。
フリースクールに通わせたい、でも学費が心配…という方は、ぜひ参考にしてみてください。
フリースクールの学費補助金制度とは?自治体による違いを解説
フリースクールは学校教育法に定める学校ではないため、国からの補助金は受けられません。
一方で、自治体によってはフリースクールに通う子供たちの学びを支援するため、独自の補助金制度を設けているところもあります。
フリースクールの平均月謝はいくらくらい?
文部科学省の調査によると、フリースクールの月謝は平均で約33,000円です。
中には月額5万円以上のところもあり、保護者の経済的負担は小さくありません。
補助金制度があれば、子供たちがより学びやすい環境を整えることができるでしょう。
なぜフリースクールの授業料は高いのか
フリースクールは民間の教育施設であり、運営費は主に授業料でまかなわれています。
スタッフの人件費や教材費、施設の維持費など、質の高い教育を提供するためには一定の費用がかかります。
また、少人数制のきめ細やかな指導を行うため、一人あたりの教育コストが高くなる傾向にあります。
国はフリースクールに補助金を出しているの?
残念ながら、現在のところ国からフリースクールへの直接的な補助金はありません。その理由は以下の通りです。
- フリースクールは学校教育法に定める学校ではないため
- 全国的にフリースクールの設置基準がないため
- 各フリースクールの教育内容や運営方針が様々であるため
ただし、経済的に困窮する家庭の子供たちを対象とした学習支援事業などを通じて、間接的な支援は行われています。
フリースクールへの補助金は自治体によって異なる
フリースクールへの補助金は自治体によって異なります。支給額や対象となる費用、申請方法など、詳細は各自治体の制度に従います。
例えば、以下のような違いがあります。
- 運営費の一部を補助する自治体と、授業料の一部を補助する自治体がある
- 補助金の上限額が月額1万円の自治体もあれば、年間100万円の自治体もある
- 全てのフリースクールが補助対象となる自治体と、一定の要件を満たすフリースクールのみが対象となる自治体がある
補助金を受けるためには、各自治体の担当窓口に相談し、必要な手続きを行う必要があります。
小学生のフリースクールについて学費を詳しく知りたい方は、フリースクールの小学生向け費用は?平均月謝と注意点にて、詳しくまとめていますので時間がある方はどうぞご覧ください。
フリースクール補助金を出している自治体一覧
フリースクールへの補助金制度を設けている主な自治体は以下の通りです。(2023年5月時点)
- 東京都
- 神奈川県
- 埼玉県
- 千葉県
- 京都府
- 大阪府
- 兵庫県
- 福岡県
- 沖縄県
各自治体の補助内容は異なるため、詳細は各自治体のWebサイトや担当窓口で確認することをおすすめします。
なお、この一覧はあくまで一例であり、他の自治体でも独自の補助金制度を設けている可能性があります。
フリースクールへの学費補助の実態を都道府県別に見てみよう
それでは、主要な都道府県のフリースクール補助金制度を具体的に見ていきましょう。金額や対象、申請方法など、自治体ごとに特徴があります。
東京都のフリースクール補助金制度を解説
東京都では2023年度から、フリースクールに通う児童・生徒への授業料補助(出典元:フリースクール等の利用者等支援事業(助成金)に関するご案内)を開始しました。その内容は以下の通りです。
- 補助額:月額上限2万円(年間最大24万円)
- 対象者:都内在住の義務教育段階の児童・生徒
- 対象経費:授業料、教材費、施設維持費など
- 所得制限:なし
申請は年2回、7月と1月に受け付けます。申請書類を作成し、各区市町村の窓口に提出する必要があります。
埼玉県ではフリースクールにどんな補助金がある?
埼玉県では、フリースクールの運営費補助と授業料補助の両方を行っています。
<運営費補助>
- 補助額:年間上限100万円
- 対象経費:人件費、教材費、施設維持費など
- 対象要件:県内に所在し、一定の基準を満たすフリースクール
<授業料補助>
- 補助額:月額上限1.5万円(生活保護世帯は3万円)
- 対象者:県内在住の義務教育段階の児童・生徒
- 所得制限:住民税非課税世帯、生活保護世帯など
いずれも申請が必要です。運営費補助は年1回、授業料補助は年2回の申請受付があります。
千葉県のフリースクール補助金事情とは
千葉県では現在、フリースクールへの直接的な補助金制度はありません。
ただし、子育て支援や生活困窮者自立支援の一環として、フリースクールに通う子供たちへの支援は行われています。
例えば、市川市では「子どもの未来応援事業」として、経済的理由でフリースクールに通えない子供たちに、月額2万円を上限とする授業料の助成を行っています。
対象は生活保護受給世帯や住民税非課税世帯などです。
大阪府ではフリースクールにこんな補助金が!
大阪府では、2023年度からフリースクールに通う子供の保護者に対し、授業料の一部を補助する制度を開始しました。
- 補助額:月額上限1万円(年間最大12万円)
- 対象者:府内在住の義務教育段階の児童・生徒
- 所得制限:府民税所得割額が59,000円未満の世帯
また、大阪市では独自の補助金制度を設けています。
- 補助額:月額上限1.6万円(生活保護世帯は2.5万円)
- 対象者:市内在住の義務教育段階の児童・生徒
- 所得制限:生活保護世帯、就学援助制度対象世帯
いずれも申請が必要で、年2回の受付となっています。
兵庫県でフリースクールに通うための補助金制度
兵庫県では、フリースクールの運営費補助と授業料補助の両方を行っています。
<運営費補助>
- 補助額:年間上限50万円
- 対象経費:人件費、教材費、施設維持費など
- 対象要件:県内に所在し、一定の基準を満たすフリースクール
<授業料補助>
- 補助額:月額上限1.5万円
- 対象者:県内在住の義務教育段階の児童・生徒
- 所得制限:住民税非課税世帯、生活保護世帯など
申請は運営費補助が年1回、授業料補助が年2回となっています。
フリースクールが国から補助金を受け取るのは難しい理由
前述の通り、フリースクールが国から直接補助金を受け取ることは現状では難しいとされています。その主な理由は以下の通りです。
- フリースクールは学校教育法上の学校ではないため、私学助成の対象とならない
- 全国的にフリースクールの設置基準や教育内容の統一がなされていない
- 憲法上、公金を支出できる教育事業は「公の支配」下にあることが求められる
こうした法的・制度的な課題をクリアしない限り、国からの直接的な補助金交付は難しいとされています。
各フリースクールの自主性を尊重しつつ、公的支援の在り方を検討していく必要があるでしょう。
フリースクールの学費や補助金に関してよく聞かれる質問
Q. フリースクールに補助金を申請したら、必ず支給されますか?
A. 各自治体の補助金交付要綱に定められた要件を満たしている必要があります。申請しても、審査の結果、支給されない場合があります。
Q. 補助金の申請時期を逃してしまいました。どうすればいいですか?
A. 自治体によって異なりますが、年に複数回申請の機会がある場合が多いです。次回の申請時期をお待ちいただくか、自治体の担当窓口にご相談ください。
Q. そもそもフリースクールの学費が払えません。他に利用できる支援制度はありますか?
A. 生活困窮世帯を対象とした学習支援事業や、民間の助成金制度などを利用できる場合があります。お住まいの自治体の福祉関連部署や、各フリースクールにご相談ください。
フリースクールへの学費補助制度のまとめ
フリースクールへの学費補助制度は、自治体によって内容が大きく異なります。
中には手厚い支援を行っている自治体もあれば、補助制度自体がない自治体もあります。
それぞれの家庭の状況に合わせ、フリースクールの選択と併せて、公的支援の活用を検討していくことが大切です。
制度の狭間で学びの機会を失うことのないよう、国や自治体には更なる支援の拡充が求められます。
まとめ
- フリースクールへの補助金制度は自治体によって異なる
- 国からフリースクールへの直接的な補助金はない
- フリースクールの平均月謝は約33,000円
- 授業料が高い理由は、教育の質を維持するためのコストがかかるから
- 補助金を受けるには、自治体の要件を満たし、期日までに申請が必要
- 東京都では2023年度から月額上限2万円の授業料補助を開始
- 埼玉県は運営費補助と授業料補助の両方を行っている
- 千葉県は直接的な補助金制度はないが、子育て支援の一環で支援がある
- 大阪府と大阪市では、所得に応じた授業料補助制度がある
- 兵庫県は運営費補助と授業料補助の両方を行っている
- フリースクールが国から補助金を受けるのは、法的・制度的な課題があるため難しい
補助金を活用することで、子供たちがより学びやすい環境を整えることができるでしょう。