不登校のお子さんに寄り添い、新たな可能性を切り開く選択肢として「不登校特例校」があります。
この記事では、不登校特例校の概要から実際の取り組み、そして全国の不登校特例校一覧までをご紹介します。
お子さんの進路選択の一助となれば幸いです。
不登校特例校とは、文部科学省により不登校児童生徒に配慮した特別の教育課程を編成・実施できる学校として指定された教育機関です。
一般の学校とは異なり、生徒一人ひとりの実態に合わせて授業時間や内容を柔軟に設定できることが大きな特徴です。
全国に設置されている不登校特例校の数は限られていますが、お子さんにとって新しい進路の選択肢になり得ます。
この記事を通して、不登校特例校の実態を知り、お子さんの進路を考える上での一助としていただければ幸いです。
不登校特例校の全国一覧と基礎知識
不登校のお子さんに寄り添い、新たな可能性を切り開く選択肢の一つとして、不登校特例校があります。
この記事では、不登校特例校の概要から実際の取り組み、全国の学校一覧までを分かりやすくご紹介します。
お子さんの進路選択の一助となれば幸いです。
不登校特例校とは
不登校特例校とは、文部科学省により不登校児童生徒に配慮した特別の教育課程を編成・実施できる学校として指定された教育機関です。
一般の学校とは異なり、生徒一人ひとりの実態に合わせて授業時間や内容を柔軟に設定できることが大きな特徴です。
具体的には、少人数指導、習熟度別指導、家庭訪問、保護者への支援、学校外プログラムの活用など、生徒に合わせたきめ細かい対応が可能となっています。
不登校の子どもたち一人ひとりに寄り添い、その実態に応じた教育を提供することを目指しています。
不登校のお子さんにとって、一般の学校とは異なる新しい学びの場がここにはあります。一人ひとりに合わせた教育で、子どもたちの可能性を広げていきましょう。
不登校特例校の入学条件
不登校特例校に入学するには、一定の条件があります。文部科学省は「年間30日以上の欠席」を不登校の目安としていますが、各学校や教育委員会が児童生徒の状況を総合的に判断します。
つまり、年間30日以上欠席していれば不登校と見なされる可能性が高いものの、断続的な不登校や不登校傾向にある児童生徒も対象となり得ます。
一方で、不登校ではない児童生徒は、不登校特例校の対象にはなりません。
不登校かどうかの最終判断は、お子さんが通っている学校や教育委員会が行います。
そのため、不登校特例校への入学を希望する場合は、まず相談することが大切です。
各自治体の基準もあるため、詳細は問い合わせが必要となります。
不登校と一言で言っても、その背景には様々な事情があります。大切なのは、お子さん一人ひとりの状況を理解し、適切なサポートを提供することですね。
不登校特例校とフリースクールの違い
不登校特例校は、文部科学省から正式に認可を受けた公的な学校教育機関です。一方、フリースクールは民間が運営する教育施設で、卒業資格の取得ができない点が大きな違いとなります。
具体的には、不登校特例校では通常の小中高と同様に、課程を修了すれば卒業証書を受け取ることができます。卒業後に進学したい場合も、内申書などの書類を作成してもらえます。フリースクールではこうした対応はできません。
また、不登校特例校は国や自治体から公的な財政支援を受けられるため、授業料が比較的安価に設定されているところが多いです。一方のフリースクールは、生徒からの授業料収入が主な収入源となるため、毎月数万円の費用がかかるケースがほとんどです。
不登校特例校の特徴
生徒数・教員数
不登校特例校の最大の特徴は、少人数制での指導です。東京の不登校特例校の例では、1クラスの生徒数が30人未満、中には5人未満の極小規模クラスもあります。
一方で教員数は手厚く、生徒一人ひとりにきめ細かく寄り添った指導ができる環境が整っています。さらに教員以外にも、臨床心理士やカウンセラーなどの専門スタッフが在籍し、多角的な支援体制を整えている学校も多くあります。
授業時間
一般の学校は教育課程に基づいて授業時間が決められていますが、不登校特例校では生徒個々の状況に合わせて柔軟に設定できます。例えば1日の授業時間を短縮したり、長期休暇中も授業を行うなど、生徒に合わせた対応が可能です。
不登校の子でも、やはり学校の勉強は必要なのでしょうか?
はい、学びは子どもたちの成長に欠かせない要素です。不登校特例校では、お子さんが無理なく学べるように、個別の指導計画を立ててサポートしていますよ。
個別指導・少人数授業
不登校特例校では、生徒一人ひとりに個別の指導計画を作成し、習熟度別の少人数・個別指導を行っています。生徒の理解度に合わせた丁寧な指導で、着実な学習の積み重ねを図ることができます。
東京の不登校特例校の例では、国語や数学などの教科で、生徒の習熟度別に5~10人程度の少人数クラスを編成し、きめ細かい指導を行っているそうです。
多様な授業内容
不登校特例校では、教科の学習に加えて、実践的な体験活動や生徒の興味関心に沿った授業を積極的に取り入れています。スポーツ、文化、ものづくりなど、多様なプログラムから生徒が選択できるようになっています。
例えば、東京の不登校特例校では週1回「いろいろタイム」と呼ばれる時間を設け、自然体験、博物館・美術館見学、スポーツ交流会などの体験活動を行っているそうです。
進路指導
進路指導についても、不登校特例校では手厚い対応を行っています。生徒一人ひとりの進路希望をヒアリングし、きめ細かな指導を行います。高校進学、就職、専門学校進学など、様々な選択肢を提示し、生徒の自立をサポートしています。
中には、高校と連携して進路指導を行う不登校特例校もあり、安心して進路を決められる環境が整っているところも多いようです。
全国の不登校特例校一覧
学校名 | 管理機関 | 所在地 | 業務の概要 |
---|---|---|---|
八王子市立高尾山学園小学部・中学部 (平成16年4月開校) | 八王子市教育委員会 | 東京都八王子市 | 不登校児童生徒のための市立小中一貫校。全学年(小4~中3)の総合的な学習において、「講座学習」として教科にとらわれない個々の関心・意欲に応じた体験的な授業内容(スポーツ系・文化系・ものづくり系等)を週4時間設定。 |
京都市立洛風中学校 (平成16年10月開校) | 京都市教育委員会 | 京都府京都市 | 不登校生徒のための市立中学校。実社会と直結した実践的な体験活動や京都の特性を活かした文化・芸術・ものづくり活動などを行う。 |
星槎中学校 (平成17年4月開校) | 学校法人国際学園 | 神奈川県横浜市 | 不登校生徒に対し、個別指導計画を作成し、習熟度別クラス編成や体験学習等の導入を行うとともに、授業時数を増やして指導を行う。 |
鹿児島城西高等学校 普通科(ドリームコース) (平成18年4月開校) | 学校法人日章学園 | 鹿児島県日置市 | 「産業社会と人間」,「進路研究(自己理解)」等を学校設定科目として設け,不登校状態がそれぞれ異なる個々の生徒に,きめ細かな指導と弾力性を持った教育を提供する。 |
東京シューレ葛飾中学校 (平成19年4月開校) | 学校法人東京シューレ学園 | 東京都葛飾区 | 道徳及び特別活動の時間を統合した「コミュニケーションタイム」を新設し、話し合い、共に協力しあいながら、自分達のやりたいことを実現していく方法等を学ばせる。 |
京都市立洛友中学校(平成19年4月開校) | 京都市教育委員会 | 京都府京都市 | 学齢超過の義務教育未修了者を対象とする二部学級を設置する中学校。二部学級の生徒とのふれあい等を通して,学習意欲向上と集団への適応を目指す。 |
NHK学園高等学校(平成20年4月開校) | 学校法人NHK学園 | 東京都国立市 | 「生活実習」や「職業技術科目」等により、実習・体験型の学習による達成経験の積み重ねなどを通じて、生徒の社会性や自立性の育成、活動意欲や学習意欲の向上を促す。 |
星槎名古屋中学校 (平成24年4月開校) | 学校法人国際学園 | 愛知県名古屋市 | 「基礎学力」及び「社会に適応する能力」向上を目指した特別な教育課程を編成し、指導を行う。また、生徒の興味や関心、適性をふまえた学習意欲を高めるための指導を充実するために特別な教育課程を編成し、指導を行う。 |
星槎もみじ中学校 (平成26年4月開校) | 学校法人国際学園 | 北海道札幌市 | 「ベーシック」及び「ソーシャルスキルトレーニング」を教育課程に位置付け、個々の生徒の学習の到達度に合わせた指導を行うとともに、人間関係の構築に必要なスキルを重点的に指導することにより、「基礎学力」及び「社会に適応する能力」の向上を目指す。 |
西濃学園中学校 (平成29年4月開校) | 学校法人西濃学園 | 岐阜県揖斐郡 | 「コラボレイト」を新しく教育課程に位置付け、国語、社会及び総合的な学習の時間を融合した授業を実施する。寮を持つ学校であり、学習及び生活指導を一貫して行う。 |
調布市立第七中学校はしうち教室(平成30年4月開校) | 調布市教育委員会 | 東京都調布市 | 体験活動等で考えたこと等を、各教科で身に付けた力を活用し生徒の得意とする手法で独創的に表現する「表現科」や、不登校による未学習部分を補うため、一人一人の状況に合わせ学習を行う「個別学習」の時間を新しく教育課程として位置付ける。 |
東京シューレ江戸川小学校 (令和2年4月開校) | 学校法人東京シューレ学園 | 東京都江戸川区 | 「いろいろタイム」を教科として新設し、自然体験や文化体験等の体験活動を通じて、児童の学習意欲の向上や自主性・創造性・社会性の育成を目指す。 |
福生市立福生第一中学校 (令和2年4月開校) | 福生市教育委員会 | 東京都福生市 | 「プロジェクト学習」を教科として新設し、各教科を横断的・合科的に扱い、自分が興味を持ったことについて自ら探究し、自分なりの答えにたどり着くことにより、探究し続けられる力や自発的に行動する力の育成を目指す。 |
星槎高等学校 (平成18年4月開校/令和2年4月指定) | 学校法人国際学園 | 神奈川県横浜市 | 「個別の指導計画」を作成し、一人一人の特性に応じた支援を行うとともに、学校設定教科「星槎の時間」「SST」「労作」を設定し、社会で活躍する基礎力の養成を目指す。 |
岐阜市立草潤中学校 (令和3年4月開校) | 岐阜市教育委員会 | 岐阜県岐阜市 | 「セルフデザイン」を教科として新設し、音楽、美術、技術・家庭科において各自テーマを設定して発展的な学習を行い、生徒の個性を伸ばしつつ自己肯定感の育成を目指す。 |
大田区立御園中学校(令和3年4月開校) | 大田区教育委員会 | 東京都大田区 | 「キャリア教育」を新設し、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力の育成を目指す。 |
宮城県富谷市立富谷中学校(令和4年4月開校) | 富谷市教育委員会 | 宮城県富谷市 | 不登校生徒が自らのテーマを設定し、探究的な学習ができるよう、総合的な学習の時間の充実を図り、自分が興味ある分野を追究し、生徒同士で発表し合うことで、自己肯定感や信頼感を高める。 |
大和市立引地台中学校(令和4年4月開校) | 大和市教育委員会 | 神奈川県大和市 | 「教養科」を教科として新設し、各教科等を横断的に取り扱った学習内容や、体験的な学習を多く取り入れ、幅広い教養を身に付け、不登校生徒が将来に向けての社会的自立につなげるための資質・能力を育成する。 |
三豊市立高瀬中学校(令和4年4月開校) | 三豊市教育委員会 | 香川県三豊市 | 個別学習の時間や夜間中学校という特色を活かして外国人生徒や異なる年代の生徒と交流する時間を設けることで、社会的に自立できることを目指す。 |
世田谷区立世田谷中学校(令和4年4月開校) | 世田谷区教育委員会 | 東京都世田谷区 | 「キャリアデザイン学習」を教科として新設し、生徒それぞれの得意な分野や好きな分野について学びを深めるとともに、協働的な学びを通じて、個性の伸長と探究心の充実、コミュニケーション能力の育成、幅広い視野等の育成を目指す。 |
白石市立白石南小学校・白石市立白石南中学校 (令和5年4月開校) | 白石市教育委員会 | 宮城県白石市 | 個々の「学び残し」や「つまづき」について重点的に指導を行う「白石タイム」や自らの得意や興味・関心に基づいて課題を設定し、探究的に学ぶ「夢スタジオ」を教科として新設し、学習に関する不安を取り除くとともに、社会性の育成・向上を目指す。 |
大和郡山市立郡山北小学校 分教室「ASU」 (令和5年4月開校) | 大和郡山市教育委員会 | 奈良県大和郡山市 | 不登校児童生徒の学習の場として、学科指導教室「ASU」を設置し、学年を超えた習熟度別指導、児童生徒の興味・関心に応じた多様な体験活動などを行う。 |
大和郡山市立郡山中学校 分教室「ASU」 (令和5年4月開校) | 大和郡山市教育委員会 | 奈良県大和郡山市 | 不登校児童生徒の学習の場として、学科指導教室「ASU」を設置し、学年を超えた習熟度別指導、児童生徒の興味・関心に応じた多様な体験活動などを行う。 |
ろりぽっぷ学園小学校 (令和5年4月開校) | 学校法人ろりぽっぷ学園 | 宮城県仙台市 | 一人一人の学習進度に合わせた学習を行う時間を充実させつつ、協働的な学びの時間を確保することで、個別最適化した学びを提供しつつ、コミュニケーション能力の向上を目指す。 |
東京みらい中学校 (令和6年4月開校) | 学校法人三幸学園 | 東京都足立区 | 「ソーシャルスキルトレーニング」と「個別学習の時間」を新設し、好奇心を持って進んで学び、自ら考え、自ら行動することで社会に貢献する資質を持った人財を育成する。 |
生野学園高等学校 (令和6年4月指定) | 学校法人生野学園 | 兵庫県朝来市 | 履修学年を特定しない学校指定科目を設定し、個々の生徒の状況により選択できるようにする。全寮制を実施しており、寮生活での人との関わりを通して主体的により良く生きていこうとする気持ちを持った者を対象としている。 |
大阪市立心和中学校 (令和6年4月開校) | 大阪市教育委員会 | 大阪府大阪市 | 各教科の時数削減の代わりに総合的な学習の時間数を追加し、一人ひとりの興味や関心に基づいた手法やアプローチにより、他者と協働しながら課題解決に向けた研究を進める。 |
大田区立大森第四小学校学びの多様化学校 分教室みらい学園初等部 (令和6年4月開校) | 大田区教育委員会 | 東京都大田区 | 新設教科「おおたの未来づくり」を設定し、未来を創造するための見方・考え方を働かせ、実社会で活躍する様々な人などと連携して、「探究」と「創造」を往還しながら発展していく学習過程において、よりよい未来をつくるための創造的な資質・能力を育成する。 |
大牟田市立宅峰中学校 ほしぞら分校 (令和6年4月開校) | 大牟田市 教育委員会 | 福岡県 大牟田市 | 令和6年4月からスタートする大牟田市立宅峰中学校ほしぞら分校(夜間中学)の生徒と協調・工夫しながら一緒に学習することに加え、一人一人の学習内容に応じて安心して、丁寧に授業を受ける時間、「多様な学びの時間」を新設する。 |
北方町立北学園 特例教室「オンリー1」 (令和6年4月開校) | 北方町教育委員会 | 岐阜県北方町 | 令和5年3月に廃校となった北方町立北方西小学校の体育館施設を活用し、不登校となっている生徒が、自分で内容を選び、自分のペースで学習できるよう、特別に工夫した教育課程を編成する。 |
精華高等学校普通科(フリーアカデミーコース) (令和6年4月指定) | 学校法人精華学園 | 大阪府堺市 | 科目数を少なくし、1科目当たりの単位数を増やすことで各科目の年間指導計画を各生徒に合わせて工夫することを可能とし、生徒個々の実態に即して学習出来るように配慮した教育課程を編成する。 |
高山市立学びの多様化教室「にじ色」 (令和6年4月開校) | 高山市教育委員会 | 岐阜県高山市 | 「ゼミ」「プレジャー」「ボイジャー」の3教科を新設し、高山市一之宮町の豊かな自然環境等を活かして不登校になっている生徒が、新たな環境で学び直したい、主体的に学びたいと思える教育課程を編成する。 |
岡山県美作高等学校 普通科(Bloomコース) (令和6年4月指定) | 学校法人美作学園 | 岡山県津山市 | 五感を使った体験・研究・発表等を通じて自らを高め、コミュニケーション能力や他者への思いやり、社会的・職業的自立に必要な力等を身につけさせることを目的とする「プレみまラボ」、「みまラボ」、「サクラボ」を学校設定科目として行う。 |
玖珠町立学びの多様化学校 (令和6年4月開校) | 玖珠町教育委員会 | 大分県玖珠町 | 町立の義務教育学校。対話を通じて自分表現・他者理解を学ぶ「対話」、協働のプロジェクトを通じて世界を知り、興味関心を深める「探究」、自然から学び創造性と健やかな心身を育む「野遊び」を教科として新設し、自ら学び、共に生き、未来をつくる力を育む。 |
延岡市立南浦中学校 学びの多様化教室分教室「熊野江教室」 (令和6年4月開校) | 延岡市教育委員会 | 宮崎県延岡市 | 「芸術」「セルフマネジメント」「プロジェクト学習」「個別学習の時間」の4つの教科を新設し、各教科で培った学習の基礎を通して、教養を身につけ、将来に向けての社会的自立につなげるための資質・能力を育成することを目指す。 |
不登校特例校はまだ全国に多くはありませんが、文部科学省は今後300校の設置を目指しています。お子さんに合った学びの場を見つけるためにも、情報収集は大切ですね。
神奈川県の不登校特例校
神奈川県には、横浜市に所在する星槎中学校が不登校特例校として指定されています。この学校では、生徒一人ひとりに合わせた個別指導計画を作成し、習熟度別のクラス編成を行っています。
また、教科学習だけでなく、体験学習にも力を入れており、スポーツ、文化、ものづくりなど、様々な体験活動を取り入れた授業を実施しています。年間授業日数は200日以上と、一般の中学校より多めに設定されています。
茨城県の不登校特例校
一方、茨城県内には現時点で不登校特例校の設置はありません。しかし、茨城県教育委員会は、不登校児童生徒への支援策として、様々な取り組みを行っています。
具体的には、適応指導教室の設置や、フリースクールへの委託事業を実施しているそうです。適応指導教室では、不登校の児童生徒に対して学習支援や生活指導を行い、フリースクールでは民間の教育施設に委託して指導を行っています。
埼玉県の不登校特例校
埼玉県内にも、現在のところ不登校特例校は設置されていません。しかし、埼玉県教育委員会は、不登校児童生徒への支援として、様々な取り組みを実施しています。
具体的には、適応指導教室の設置、訪問による支援、そして民間教育施設への委託などを行っているそうです。訪問支援では、不登校の児童生徒の自宅を教員が訪問し、学習支援や生活指導を行うことで、徐々に登校への意欲を高めていく取り組みを行っています。
また、民間教育施設への委託では、フリースクールなどの民間施設に指導を委託することで、不登校児童生徒への学習機会の確保を図っているのだそうです。
私立の不登校特例校
私立の不登校特例校は、公立に比べると数が少ないのが現状です。その中でも、鹿児島県の鹿児島城西高等学校が代表的な存在となっています。
同校の普通科には、「ドリームコース」と呼ばれる不登校生徒向けの特別カリキュラムが用意されています。通常の教科学習に加え、「産業社会と人間」や「進路研究(自己理解)」などの学校設定科目を設け、一人ひとりの状況に合わせたきめ細かい指導を行っているそうです。
また、生徒の社会的・職業的自立を見据え、実習を通した体験的な学習にも力を入れているとのことです。不登校経験のある生徒が、ゆくゆくは社会に巣立っていけるよう、手厚くサポートする体制が整えられています。
不登校特例校Q&A
不登校特例校は全国に何校設置されていますか?
文部科学省が公表している最新のデータ(2024年4月1日時点)によると、全国に35校の不登校特例校が設置されています。
都道府県別に見ると、東京都が6校と最も多く、次いで神奈川県が3校となっています。一方で、不登校特例校が一つもない都道府県も多数存在する状況です。
このように、不登校特例校の設置数は決して多くはありません。しかし、文部科学省は今後の目標として、全国に300校の不登校特例校を設ける方針を示しています。分教室型も含めて、徐々に設置数を増やしていく計画のようです。
フリースクールと不登校特例校の違いは何ですか?
不登校特例校は、文部科学省により認可された正規の学校教育機関です。一方のフリースクールは、民間が運営する教育施設で、卒業資格の取得ができない点が大きな違いとなります。
さらに、不登校特例校は公的な財政支援を受けられるため、授業料が比較的安価に設定されているケースが多いです。フリースクールは生徒からの授業料収入が主な収入源となり、毎月数万円の費用がかかることが一般的です。
また、不登校特例校に通えば、出席扱いとなり卒業資格を得られます。進学を希望する場合も、内申書などの書類を作成してもらえます。フリースクールではこうした対応はできません。
このように、制度上の違いから、様々なメリット・デメリットが生じています。お子さんに合った教育環境を選ぶ際の一つの判断材料になるでしょう。
不登校の全国1位はどこですか?
不登校の割合が全国1位の都道府県は、2022年度の調査で宮城県でした。具体的には、
- 小学生の不登校率が2.27%で全国1位
- 中学生の不登校率が5.41%で全国1位
となっており、小中学校ともに4年連続で全国最高の割合となっています。一方、不登校児童生徒数が最も多かったのは東京都ではなく、茨城県でした。
2023年10月時点で、茨城県の1000人あたりの不登校児童生徒数は39.7人と、全国で最も多い状況にあります。つまり、不登校の割合が最も高いのは宮城県、一方で実数が最も多いのは茨城県ということになります。
不登校特例校の卒業資格は?
不登校特例校は、正規の小学校、中学校、高等学校として認可されているため、それぞれの課程を修了すれば、卒業資格を取得することができます。
ただし、一部の私立校では卒業資格が付与されない場合もあります。
まとめ
不登校特例校は、不登校児童生徒一人ひとりに合わせた教育を提供する、文部科学省認可の正規の学校教育機関です。少人数制、個別指導、多様な授業内容など、様々な配慮がなされています。
一方で、入学には条件があり、設置数も全国で35校(2024年4月時点)と限られているのが現状です。しかし、お子さんの新しい可能性を切り開く選択肢の一つとして、不登校特例校を検討する価値は十分にあるでしょう。
まとめ
- 不登校特例校とは、文部科学省により不登校児童生徒に配慮した特別の教育課程を編成・実施できる学校である
- 不登校特例校に入学するには、年間30日以上の欠席などの条件がある
- 不登校特例校は正規の学校教育機関で、卒業資格の取得が可能である
- 少人数制で生徒一人ひとりに寄り添った指導ができる
- 授業時間を生徒に合わせて柔軟に設定できる
- 個別の指導計画に基づく少人数・個別指導を行う
- 教科学習に加え実践的な体験活動や生徒の関心に沿った授業を実施
- 進路希望を丁寧にヒアリングし、きめ細かな進路指導を行う
- 2022年5月時点で全国に35校の不登校特例校がある
- 東京都が10校と最多、次いで神奈川県が3校である
この記事で不登校特例校の概要が分かり、お子さんの進路選択の参考になったことと思います。
次は実際に最寄りの不登校特例校や教育委員会に問い合わせ、詳細を確認してみてはいかがでしょうか。
参考
- 学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)(不登校児童生徒を対象とする特別の教育課程を編成して教育を実施する学校)について
- 不登校児童生徒への支援に関する最終報告の概要
- 不登校特例校300校目指す 次期教育振興基本計画
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